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一般書

キラキラ どもる子どものものがたり

注文する書籍の紹介堅田利明 著
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 わずかにお母さんの目が涙目になった。新一は「うん」とうなずいて次の言葉を待った。
「新ちゃんがどもりはじめたときね、すごく心配したわけじゃなかったの。三才ぐらいの子どもにはよくあることなのよ。だからね、ほおっておいたらそのうち治るよねって。たしかに治ったようにすらすら話せたときもあったの。でもね、しばらくするとまたどもりはじめるの。その度に、どうしてなんだろうか、保育所で何かあったんじゃないかって、ずいぶん考えたの。園の先生に何度も聞いてみたんだけどよくわからなかった。やっぱりお母さんが忙しくしているからとか、新ちゃんのお話しちゃんと聞いてあげられてないからだとか、『早く』とか『急いで』ってよく言ってたでしょ、それがよくなかったのかなって。いろいろ考えて、あれもこれもよくないんじゃないかって思うようになったの。お父さんは、ほおっておいたらそのうちよくなるからって言ってね。お母さんが気にすることないって。でも気になってしまうの。その度に、気にしてはダメだって自分に言い聞かせてね。でもやっぱり気になってしまうの。そのうちどんどんしんどくなっちゃってね。もう、どうしていいかわからなくなったの」
 お母さんの目が涙でいっぱいになった。新一はそれを見まいと下をむいた。
「年中さんのときの清水先生にも相談したし、園長先生でしょ、それから、かぜのときによく診てもらった谷先生や、保健所の先生、いろんな人に相談したの。でもね、皆、気にしない方がいいって言うの。そのうち治るからって。叱らない方がいいとか、ゆっくり話してあげなさいって言う先生もいたの。お母さんはその通りがんばったの。でもね、やっぱり治らなかった。そうこうしているうちに、今度は新ちゃんの話し方が変わってきたのね。力をいれて話すようになったの。『アアアあのね』みたいにね」
「あっ、それあるある。たまになるよ僕」
「そうね、そんなふうになったのも全部お母さんのせいなんだろうって。心配しすぎで、新ちゃんのいいお母さんになれないからだって。お母さん失格だなって。そのときやね、仕事をやめようって決心したの」
 涙がポタッと一つじゅうたんの上に落ちた。お母さんの声はふるえていた。新一の心もふるえていた。
「きっぱり仕事をやめて、いままでできなかったことをいっぱいしようって思ったの」
 ひょっとするとお母さんは、もっと仕事を続けたかったのかなと思ったが、口にするのはやめた。
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「六 お母さんにインタビュー」より
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