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  • こころとからだ 奄美再生のレシピ
  • こころとからだ 奄美再生のレシピ

    田町まさよ

    1,400円+税

    南島叢書97 / 並製 / 104 / 2021/6/25 3刷

    978-4-87616-036-5

    全国で無肥料・無農薬の野菜・野草を使った料理教室や食事会、セミナー、瞑想会などを開催している著者が重度のアトピーを8年かけて奄美の自然と食、人に助けられて自然に癒し、心身共に再生した自身の経験をもとに、奄美の豊かな自然と人、料理と食べ物についてエッセイと料理レシピで綴っている。
    レシピは島の野菜や果物を使った一皿、伝統食、野草の酵素ジュース・・・など、約100品を掲載。
    総ページカラーの料理の本。

    2023.10.18

こころとからだ 奄美再生のレシピ

こころとからだ 奄美再生のレシピ

田町まさよ

1,400円+税

南島叢書97 / 並製 / 104 / 2021/6/25 3刷

ソテツ(ナリ)
 奄美にたくさん自生している赤い実のなるソテツ。食糧難の時代にはソテツの実や芯を自然発酵させて、でんぷんにしたお粥が島の人たちの主食となり、いのちを守ってきました。ソテツの実はそのまま食べると毒があるのですが、水にさらしたりして、あくを抜くことで食用となります。
 粉にしたものはお粥に、また、お米と混ぜてさらに発酵させて、ナリ味噌となります。鉄分や銅が含まれ、疲労回復や血液の流れを良くする効果などがあるといわれる滋養のある島の伝統食です。
 ソテツの実が入ったナリ味噌を初めて食べたとき、こんなおいしいお味噌があるのか! と感動したくらい私は大好き。そのまま食べてもおいしいと思ってしまいます。どんな炒め物にもよくあうので、重宝します。
 ソテツの実を粉にしたナリ粉は、お米と混ぜてお粥にすると、風味があってとてもおいしくいただけます。また、天ぷらの衣やケーキなどの生地に入れるとふんわりします。そして、最近読んだ本(秋田憲司著『無添加住宅』サンマーク出版)で、ソテツの実には、サイカシンという物質が含まれ、それが体内の酸で分解され、ホルムアルデヒドなどができ、それが人間に毒となるが、水によくさらすと毒が抜けると知りました。見た目からは、とても食べられるとは思えない、しかもそのままでは、毒があるものを食糧にした奄美の先人たちは、本当に素晴らしい! この知恵を現代にも生かしていけるといいですね。

ナリ粉の作り方
[宇検村生勝集落で聞いた方法] 
1 ソテツの実を割って、水に10日くらいさらしてあくを抜き、固くなるまで、天日に干す(3日程度)。
2 1をさらに水に3日くらいさらし、ざるなどにあげて水を切る。
3 2をうすに入れ、杵で搗き、ざるでふるう。

[家でできる簡単な方法] 
1 落ちているソテツの実を拾って、皮を割って(クルミ割り機でやるととても簡単)、一晩くらい水にさらす。
2 1の水を捨て、ミキサーに入れ、ひたひたより多めの水を入れ(ミキサーが回るくらい)、粉にする。
3 2の水を数時間ごとに何度も上澄みの水を替え、水が濁らなくなったら布で濾し(濾したものをそのままお粥に入れても大丈夫)、天日などで乾かす。
*教えてくれた方によると、昔は水道がなかったので、水をしょっちゅう替えることができなかったが、今はそれができるので、水を何度も替えたら大丈夫とのことです。この方法だと短時間であく抜きできますが、ソテツを食べて中毒になった例が多くあるようなので、注意してやってください。
 心配な方は、塩の項(p.40)で紹介した打田原集落などで、よくあく抜きしたナリ粉を販売されているので、そちらを使われることをお勧めします。

ナリ粉パン
〈材 料〉 小麦粉、塩、ナリ粉、酵母
〈作り方〉 
1 酵母を作る。瓶に酵母の素(フルーツなど)、水をひたひたに入れて蓋をきっちり締める。毎日1回蓋を開け、シュワーッと発酵するまで待つ。私は台所の日の当たるところに置いています。
2 小麦粉に、小麦粉の1割から2割程度のナリ粉、塩、酵母を入れ、一晩程度(ふわっと膨らんでくるまで)発酵させる。
3 2を成形し、型に入れて1時間程度置く(2次発酵)。さらにふわっとしてくる。
4 土鍋に少し水を張り、2を入れて蓋をし火にかけ、竹串に生地がつかなくなるまで焼く(オーブンで焼いてもよい。オーブンの場合は、型に入れなくてもできる)。

自然から恵みをいただく暮らし
ソテツ(ナリ)より本文のみ

著者プロフィール
田町 まさよ
(たまち まさよ)

自然料理家 ガイド。1970年生まれ。
大阪外国語大学インドパキスタン語学科卒業後、96年に奄美大島に移住。
地元旅行会社勤務後、ガイドとして独立。
移住後患った重度のアトピーを8年かけて自然に治した経験から〝人が病気になるのは、自然とのつながりを忘れてしまったから〟ということに気付き、奄美の自然と霊性の力を借りた心身再生のためのリトリートツアー、ガイドを奄美で、人の心と体を自然に戻す力のある無肥料・無農薬の野菜・野草を使った料理教室や食事会、セミナー、自然と人をつなぐ瞑想会などを全国で開催している。
現在、〝あるがままの自分の魂の美しさに出会う〟ための心身再生プログラムを準備中。http://tamachimasayo.com
ブログ〝かみさまの住む島奄美〟 http://plaza.rakuten.co.jp/loveamami/

目 次
はじめに
いのちのもと
土鍋で炊くご飯
おむすび 
塩おむすび/大根葉の漬物のおむすび/大豆の炊き込みご飯おむすび/野草ふりかけのおむすび
小豆粥とゴマ塩 
私を助けてくれた島のお母さんの味
  ナスの揚げ浸しそうめん/ニガウリの梅肉和え
自然から恵みをいただく暮らし
春は野草を食べましょう
 野草味噌/野草の米ぬかふりかけ
 長命草ペースト/長命草ペーストのパスタ/野草の酵素ジュース  
緋寒桜のおこわ 
 緋寒桜の塩漬け
ソテツ(ナリ) 
 ナリ粉パン
アオサ 
 アオサのキッシュ風/アオサとジャガイモのかき揚げ/アオサ炒り大豆
ゆし豆腐
 できたおからで作るおから炒め
切干し大根 
 砂糖を使わない奄美版お煮しめ/切干し大根のはりはり漬け
芭蕉と触れる一日
 芭蕉の芯の天ぷら/芭蕉の芯の南蛮漬け/芭蕉の芯の酢味噌添え/手作り沢庵
自然と共生しながら生きていくやり方を伝えたい 
  打田原のマシュ(天然塩)作り
太陽の黒さとう
味噌づくり
季節の野菜で作る重ね煮のお味噌汁 
島の自然栽培野菜を美味しく食べる 2014初秋 

シマの味
島のかみさまの味〝なべおてれ〟 
   ~佐仁集落 栄サダエさんの郷土料理
島のアンマの味~佐仁集落の郷土料理 
 ナリカン/サタ(砂糖)天ぷら/白天ぷら/トン(イモ)天ぷら/藻野菜(ホンダワラ)の煮物
ミキ 
ミキを使った蒸しケーキ 
  レモンと小豆の蒸しケーキ/レモンと紅茶の蒸しケーキ/リンゴとサツマイモの蒸しケーキ

奄美の野菜・果物をいただく
島の子どもたちと作る島野菜の家庭料理 
  ワークショップ@加計呂麻島
ショウガ
  ジンジャーシロップ&ショウガチップ&いろいろ/ショウガの甘酢漬け/紅ショウガ/ショウガジャム/ショウガ炒り大豆/ショウガの佃煮
スモモ 
  ドライスモモ/梅スモモ酵素ジュース/スモモジュースとスモモジャム
島バナナ 
 焼き島バナナ/島バナナと小豆の蒸しケーキ
タンカン
 タンカンジャム/タンカンピール/タンカンふくらかん
キュウリの漬物 
ジーマミー(ピーナッツ)豆腐  
 生落花生(ピーナッツ)の蒸し煮
ジャガイモ&カボチャのお焼き  
重ね煮ラタトゥユ  
 
霊性の島 奄美再生のレシピ
 呼吸と瞑想  
 生き物も人も同じ地球の仲間だと感じられるようになるために
 生物多様性は、人間多様性 奄美の森が教えてくれたこと
 奄美リトリートツアー  

  本文で紹介できなかったレシピ  
ナリ粥/ニンジンの葉とニンジンのかき揚げ/黒豆の煮汁ご飯/レンコン黒豆煮/レンコンお焼き/ハンダマのピーナッツミカン和え/ショウガとミョウガの混ぜご飯/ヘチマとトッツブル(島かぼちゃ)のトマトスープ/トッツブルのお漬物/トッツブルの米粉おやき/クワリのピーナッツ梅肉和え/クワリとトマトのお浸し/トッツブルとモチキビのトマトソースグラタン/くわりとおから煮2種/田芋の味噌和え/パパイヤのグアバソース和え/島黒アズキとグアバのコンポート/ツワブキの煮物/島ドーナッツ/ヘチマともずくの味噌汁/島カボチャ(トッツブル)の餅天ぷら/もずくと島ラッキョウのかき揚げ/ニラと地卵の出汁巻き卵/島夏野菜のラタトゥユ/パパイヤとタマネギのサラダミキドレッシング和え/パパイヤ、ニンジン、シイタケの厚揚げ炒め/島ウリとヘチマの鰹節炒め煮/桑の葉、ツルナ、長命草の白和え/イモヅル、こんにゃく、昆布のきんぴら/島夏野菜(島ウリ、ナス、オクラ、シソ)の山形だし風/パパイヤとニンジンの即席漬け/パパイヤ、島バナナ、パッションフルーツ、ドラゴンフルーツのミキデザート

  あとがきにかえて 
   愛を食べる料理