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南北分断の真相 ~一九四五-四八その歴史的検証
張君三
1,942円+税
陶院叢書 / B6判 / 328頁
韓国・北朝鮮の国連同時加盟、南北会談の開催、W杯サッカー日韓共
同開催など今、朝鮮半島は大きく揺れている。南北分断に日本がどの
ように関与していたのか、機密文書から読み解く。
2023.10.18
前の章で述べたように、アメリカ軍政当局の韓国人に対する伝統的蔑視観がこの時代にも大いに働き、解放の慌ただしい政局処理を主人公の韓国人に委任することなく言語道断な日本人に再度委任しようとしたのである。
これに勝るとも劣らぬ状況が日本の総督府官僚のなかにも見られた。敗戦が決定的になった瞬間でさえ、日本の総督府側の遠藤柳作は、朝鮮人側の代表格の宋鎮禹に対して相当失礼で厚顔無恥な条件を差し出すのである。ときに遠藤は、解放後の政局を委任するかわりに、75万人の日本人の朝鮮国内での永住を認めよとか、日本人財産とその権益を引き続き認めることを宋に申し入れた。
これは日本人の破廉恥極まる要求であり、朝鮮人に艱難辛苦の苦しみを与えてきた過去に対する反省のないものであった。
そんな要求を宋が、簡単に受け入れるはずはなかった。そこで遠藤は、急遽、鉢を呂運亨のほうに廻したが、その時の要求事項は日本人の財産保護と生命の安全に止どめた。
一方、日本の総督府は日本の沖縄に駐屯した米軍24軍と無線交信が可能になると、日本側の立場をよくするための虚偽報告、韓国人に対する中傷謀略などをアメリカ側に送り、いかにもソウルの町の中には赤旗が翻り、殺人強盗が横行し、政党は数百に上り、まさに無政府状態であるなどと、朝鮮総督府は米国に報告した。そればかりか日本は、アメリカ政府当局に韓国人独立運動家のリストをはじめ、統治の術まで教え込むという『御親切な報告書』を送り、あまつさえアメリカ政府当局の力を借りて暫時の朝鮮支配をもねらった。一方南に住む朝鮮人は日本の思惑とは違って、圧政を強いてきた日本人に対して報復措置を取らないでかれら日本人の生命は保障した。
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李承晩路線の検討
李承晩と米軍政 より